調剤薬局のM&Aにおいては、ご不安な方も多いことと思います。
そこで、調剤薬局のM&Aについてメリットをまとめてみました。
ご覧下さいませ。
■売り手側
調剤薬局M&Aのメリット
①後継者問題の解決
後継者がいない、薬剤師の採用ができない、などの問題で調剤薬局を継続することが困難なオーナー様が近年とても多くなっております。
後継者不足は業界全体でとても大きな問題となっているのです。
1990年代より、国が推進した医薬分業により調剤薬局が増加し始めましたが、それから約30年ほどが経過し、オーナー様もリタイアを考え、後継者を探すような時期を迎えていますが、後継者探しは難航しているような状況です。
というのも、事業承継はよく
・子供や親族に継いでもらう
・従業員に継いでもらう
の2パターンの承継で継続されてきましたが、どちらも上手くいくとは限りません。経営者のご子息だからといって経営の資質があるとは限らないことや、ご子息自身が調剤薬局の経営を望まないこともちろんあります。多様な生き方ができるようになった今日、子に事業承継を強いることができない、というオーナー様が増えています。
また、従業員に継いでもらう場合、株式を買い取ってもらう必要がありますが、従業員がその資金を捻出できず、また、経営者になる勇気や覚悟を持つに至らず、進まないケースも多々あります。
それだけではありません。後継者問題の背景には、業界全体が抱える先行き不安があります。
2015年、厚生労働省は、複数の病院から処方された薬をまとめて管理できるよう、「かかりつけ薬局」への転換を促進の目的で、いわゆる調剤しか行わないような「門前薬局」について、2016年度から診療報酬をへらすことを決めました。
また、それにともない、患者本位の医薬分業を謳い、服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導、24時間他王・在宅対応、医療機関などとの連携など、かかりつけ薬局のあるべき姿を打ち出しています。
これらの大きな再編の動きは、中小の調剤薬局の収益性に大ダメージを与えており、このような状況が後継者減少に拍車をかけていくことになるでしょう。
このように難しい問題に直面している後継者問題ですが、企業・業界の存続を考えると、M&Aによる譲渡が有力な選択肢となってきております。
②ブランド力・信用力の向上
M&Aによって、売り手側企業のブランド力や信用力の向上が見込まれることは大きなメリットです。大企業や一流企業の子会社となることによって、その企業の経営のノウハウを使うことによって収益性の向上が見込まれたり、また、金融機関や買い手企業からの借り入れもしやすくなることでしょう。
さらに、採用も有利に進められる可能性も高まります。
大企業の福利厚生や研修などの各種制度を利用できることは、就活中の薬剤師にとっては大きな魅力です。
このように、M&Aによって売り手側企業の多くの悩みが解決することになります。
③創業者利潤の確保
創業者利益とは、主に株の売却益のことで、株式公開や清算、M&Aをした時に得られる利益です。
ですが、株式公開は、かなり厳しい上場基準をいくつもクリアする必要があり、かなり困難です。
また、清算とは、いわゆる会社の法人としての活動を終え、法人格を消滅させる手続きを指し、会社財産から負債などを全て整理したあとの額を創業者利潤として得ることができますが、この額に税がかなりかかってくるため、額として大きく目減りしてしまいます。
M&Aですと、清算に比べ税率をかなり抑えることができ、資産評価で有利に働くなどのメリットがあるため、例えばハッピーリタイアであったり、新しくビジネスを行うなどの意向がある時にも、最も良い選択肢と言えます。
さて、M&Aのメリットについて考えてきましたが、M&Aは調剤薬局のオーナーの力強い味方として機能する方策です。
理想の相手企業探しと、スムーズかつフェアな交渉。
後継者にお悩みのオーナー様は、一度M&Aを検討されてみると良いと思います。