調剤薬局M&Aは、今とても活発な動きを見せています。
M&Aが活発ということはもちろん、現在の業界、社会の潮流を受けて、譲渡側である中小の調剤薬局と、譲受側である大手の薬局企業、双方に多くのメリットが生まれているということになります。
なぜこれほど調剤薬局M&Aが活発になっているのでしょうか?
まずは背景から考えてみたいと思います。
医薬分業のこれまでと、これから
医薬分業は、先進諸国において一般的な制度です。医師と薬剤師の業務は厳格に分けられ、
例えばドイツでは医師に調剤権はなく、薬剤師にのみ調剤権があります。医師は薬局を保有することも、共同経営者にもなれません。
また、アメリカでは医師が薬品を直接販売することが禁じられ、また、特定の薬局へ誘導することも禁じられています。
日本では薬の利益率の高さから、医師がこの既得権を離さず、医薬分業がなかなか発達しませんでしたが、1990年代以降、薬の価格の改定を行い、
薬で儲からない仕組みを作るとともに、院外処方箋の発行する価格を数倍高くするなどの施策が功を奏し、日本でも調剤薬局が増加してきました。
今では、日本にある薬局の数はコンビニエンスストアより多いと言われていますが、欧米でのスタンダードには遠く及んでいません。
そして、2015年、さらなる転機が訪れます。
厚生労働省が、「門前薬局」から「かかりつけ薬局」への転換を目的として、調剤のみを行う「門前薬局」の診療報酬を減らすことを決めたのです。
さらに、この転換の大きな目的である、「患者本位」の医薬分業の実現に向けて、服薬情報の把握や、24時間対応、在宅対応、医療機関との連携など、これからの薬剤師・調剤薬局のあるべき姿を明確にしました。
調剤薬局の今後
調剤薬局はこれまで、医薬分業の名のもと、医療機関の近隣に拠点を構え、主としてその医療機関の処方箋ばかりを扱う形で発展してきました。
国の債務の膨張、急速な少子化、高齢者人口の増大など社会環境が劇的に変化する中で、調剤薬局の役割も旧態依然のままでいいはずはなく、変わっていく必要があります。
国民皆保険を堅持し続けていくためには、現在42兆円にまで膨れ上がった医療に要する費用を抑え込み、医療費の適正化を図らねばなりません。
国は、医療費が過度に増大することを防ぐため、これまでの調剤薬局に対する方針を転換し、「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」という患者様の服薬情報の一元管理や丁寧な服薬指導などを調剤薬局、および薬剤師に求めるようになりました。今後この施策に対応できない調剤薬局は市場から退場を求められることになります。
薬剤師が不足している現在、この施策に対応ができない調剤薬局が多いことがM&Aが盛んな一因となっているのです。
足りない薬剤師
このような施策が打ち出される中で、薬剤師の不足は深刻です。
例えば地方の薬局などでは薬剤師が一人で、経営に関わる全ての業務をこなしているケースが多く、
更に24時間対応などできるはずもありません。
また、先に述べた通り、調剤報酬の減少、薬価価格の低下などにより、売上の減少による打撃の先行き不安で、
人を増やすこともできない薬局も少なくありません。
さらにそれ以前に、就職の際に小さな薬局を志望する学生が少なく、人材確保にそもそも苦戦する薬局が多いため、
様々な選択肢をとりたくてもとれない状況になっているのが現状です。
薬局を畳むという選択肢もあるように思えますが、薬局を清算する際には大きな税が発生しますし、何より地域の住民の方が困るという思いで「なんとか継続を」とおっしゃるオーナー様も多いのです。
M&Aは今がチャンス!
このような背景・現状より、今後M&Aを決断される調剤薬局は、増加していくと考えられます。
売り手が増えるということは、当然需要と供給のバランスで、供給過多ということになりますので、
本来の調剤薬局の適正価格よりも安い価格で足元を見られてしまうケースが増えてしまうことが予想されます。
もしも上記のような事態に直面している調剤薬局のオーナー様がいらっしゃれば、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか?
薬局譲渡ドットコムでは、よくある「独占契約」を求めません。これは、仲介会社が他の仲介会社との接触を禁止するもので、
買い手側の情報量を制限するものです。薬局譲渡ドットコムではそのようなルールをオーナー様に強いることはございませんので、
安心して、ご相談をする最初の一社にお選び頂けますと幸いです。